講習会の記録 id:264299-06 date:20140807 title:「いまさら聞けないCIM」

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 「CIM試行業務の事例紹介」~鵡川大橋の耐震補強設計より~

 講師:株式会社ドーコン 構造部 担当次長 池田 準(いけだ じゅん) 技術士(総合技術監理部門、建設部門)

 以下の資料は、受講者の技術研鑽に役立つことを願い、講師のご厚意により提供いただいたものです。


20140823公開

PowerPoint PAGE-00  画像はクリックすると拡大します。

[経過時間 00:00]
中村(司会): つづきまして「CIM試行業務の事例紹介」と題しまして、(株)ドーコン構造部担当次長 池田様宜しく御願いします。

池田:ご紹介いただきました(株)ドーコンの池田と申します。
昨年度(平成25年度)、苫小牧道路事務所さんから発注いただきましたCIM試行業務事例として、鵡川大橋の耐震補強設計の紹介をさせていただきます。
簡単な自己紹介をしますと、苫小牧道路事務所さんとの関わりですが、17、8年前の平成8年、9年に事務所の現場技術業務(発注者支援業務)で担当技術者としてお世話になりました。
当時、今話している苫東中央ステーション横の日高自動車道の静川高架橋を施工しており、1年目が下部工の躯体立ち上げ、2年目が上部工架設を行っており、工事現場を勉強させていただきました。その後、平成10年に会社に戻り、清流鵡川大橋を設計しております。
今回の鵡川大橋は、清流鵡川大橋の下流側の国道235号に架かっています橋梁の耐震補強設計になります。

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今日の内容ですが、実は、先ほど基調講演の橋本さんと重複するところがありちょっと困ったなと思ってます。
最初に動画による概要の説明、次に業務概要の説明、CIMを実際適用してみた状態の話し、
全体モデルをどう組んでいったか、ASPの活用して色々やってみたこと、最後にまとめの流れで進めます。

MOVIE


▼講習の様子
[03:00]

それではまず動画を見て下さい。
こちらが、対象になっている鵡川大橋です。昭和60年に架橋され、橋長は365mになります。川が流れている所が2径間の箱桁、終点側の高水敷部が3径間の鈑桁になります。
3次元化は橋梁全体としてますが、実際のCIM試行対象はP2,P4橋脚でしたが、折角だから鵡川橋をも含む全体をモデル化しました。
こちらは、上流側にある鵡川橋です。昭和29年に出来た、かなり年数の経った橋です。こちらも出来るだけ忠実にモデル化しています。
こっちは昭和60年架設の鵡川大橋のほうですが、耐震補強設計ですから落橋防止構造を設置するとか、橋脚に鉄筋コンクリートを巻立てるのですが、添架物の位置を忠実に再現してます。
上部工も骨組まで再現しております。板厚変化はさせませんでしたが、位置とか大きさは復元してます。
地中部の基礎も忠実に再現しています。
この全体モデルを何かに使ったのかといえば、そこまでは何も使っていないわけですが、ゆくゆくは何かに使えると思います。

今回は、耐震補強設計ですので新しく設置する部材と元々あった既設部材の取合いの確認が中心となります。CIM試行業務のモデル化箇所はP2橋脚とP4橋脚の2橋脚です。まずは既存の橋脚を既存の図面から立体の形に仕上げていきます。設計当時の手書きの図面が残っていたものですから割とスムーズに業務着手段階で進めました。次に支承ですが、忠実にモデル化しています。
新しく加える部材ですが、この紫色の沓座を拡幅したりとか、落橋防止システム、耐震補強の巻立てになります。
青い部分が元々の配筋、新しく足しているのが紫色の部分になります。これらを拡大し、干渉の確認が業務内容になってます。ただ、残念ながらあくまでも既設の設計図面から起こしているデータをベースに鉄筋を復元しているので、実際の配筋状況は、やはり施工に入ったときはもう一度確かめて行く必要があります。(つまり、既設の図面の位置に正確に鉄筋が組上げられているとは限らない。)
当然、一個、一個細かく見るわけではなくて、後で取り合い確認するボタンがあって、干渉しているかわかります。上部工の方も補剛材とか細々した部材もあるので考えながらやります。添架物の水道管などに対して、つけたい場所にありましたので、新しい部材が干渉しないように配置します。
つづいてP4橋脚ですが、P2橋脚と同じようなことしておりますので早送りします。

先ほど説明しましたが、これだと3次元のモデルを作っただけになります。これら属性情報を付け足します。
コンクリートの強度、材料は何だとか、鉄筋の材質、太さ、強度等を属性情報として入れてあげることで、最後にモデルの数量を集計したりすること使えます。 3次元のモデルを移行して、解析に使ったりも出来ます。今後は、施工や維持管理、積算の自動化とか、景観検討に使われて行くと思います。
動画はここで終わります。

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[10:20]
スライドに戻ります。
業務概要ですが、国道235号の鵡川大橋と浜厚真橋の下部の耐震補強設計が業務対象ですが、CIMの対象は鵡川大橋です。
上流側の鵡川橋(アーチ橋)については整備方針検討を行いました。
具体的には、古い橋ですので将来的にどう使っていったらよいか、撤去も含めた検討になります。

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鵡川大橋の概要を示します。動画でも話しましたが、昭和60年に架橋された橋梁です。
起点側が2径間連続鋼箱桁、終点側が3径間連続鋼鈑桁です。

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橋梁の概要は先ほど述べましたが、河川の下流側と上流側で形式が違い、下流側が約30年、上流側が約60年経っています。
モデル作成当初は、下流側の鵡川大橋のP2橋脚とP4橋脚を部分モデルで進めようと考えていたのですが、折角の機会ということで2橋とも全体をモデル化し、色々作成技術の習得とか作成期間や費用をおさえておけば将来役立つと考えてモデル化しています。

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CIMの適用ですが、P2橋脚では、掛け違い橋脚なので新設する落橋防止システムとの干渉、数量算出を行いました。

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これからはCIMモデルからカットしたものを見ていただきます。
上が既設モデル、下が追加する部品です。
追加したのは落橋防止システムです

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こちらもCIMモデルからカットしたものですが、落橋防止構造をオレンジ色、沓座拡幅を青色で表現しております。

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次にP4橋脚ですが、中間支点の橋脚なので新設するRC巻き立て補強と落橋防止システムとの干渉、数量算出を行いました

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さきほどのP2同様、上が既設モデル、下が追加する部品です。
追加したのは落橋防止構造とRC巻き立て補強です

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新設する落橋防止構造をオレンジ色、RC巻き立て補強を青色、配筋干渉のチェックを紫色としています。
これで干渉チェックをしています。

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次に先ほど動画で話した属性ですが、巻立てコンクリートが25cmとか、コンクリートの強度が24N/mm2とか、鉄筋の材質と強度がいくらであるとか関連付けができます。
また、将来的なモデルの利用方法ですが、施工時には、仮締切りのデータを追加して、河川の水位によっては仮締切りの高さを変えたりとか、違う属性で保存しておけば施工時に利用できるでしょう。
維持管理段階になれば、橋梁点検の結果を追加して、さらに補修したらその履歴も追加して、一つのモデルの中に属性を追加してゆけば、どんどんデータの活用が進められると思います。

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次に、3次元モデルから2次元の図面が簡単にできるかという話ですが、実はそうではないという話をします。
2次元の図面を作成するためには、3次元モデルから任意に指定した横断面や側面で切りとり、それを図面の中で配置して、寸法線とかタイトルボックスとか追加し作成しますので、元のモデルがあるというだけで、ボタン一つで仕上がりの図面が出来るわけではありません。
結局は2次元図面を作るのと同じような手間が必要です。
ただ、メリットとしては、CIMの一つのモデルから派生していく作り方になりますから設計図面間の不整合は生じないです。

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次は実際の作業工程ですが、CIMをやろうときめてから6ヶ月しかありませんでした。
最初の1ヶ月半が既存図面から既存の3次元モデルの作成を行いました。
さらに10月中旬11月末ぐらいに、新設部材の落橋防止やRC巻立てを作りました。
その後、干渉チェックを12月の1ヶ月で行いました。
最後として、モデルから図面を作成とあわせて数量算出が残りの1ヶ月です。

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先ほどの動画を見逃した方もいるかもしれませんので、作成したモデルの説明をさせていただきます。
地形モデルは、今回、河川管理者の所有の5mメッシュのLPデータを使いました。
実測測量のデータがあればもっと詳しいものが出来たでしょう。
通常は上記のデータがなければ、国土地理院から10mメッシュのものは無償で提供されていますのでそちらを利用します。

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上部工の全体モデルです。
上が2径間連続箱桁、下が3径間連続鈑桁のモデルです。
細かい板厚変化までは再現していませんが、主桁の補剛材や横桁や対傾構などもモデル化しています。

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鵡川橋のアーチ部分のモデルです。
保存状態があまりよくない図面しかなかったのですが、なんとか再現しました。
歩道部も再現しました。

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下部工関係ですが、地中部の基礎も再現しております。

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その他として、支承も忠実に再現し、干渉で問題となる可能性のある添架物も再現しました。

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次にアーチ橋の鵡川橋ですが、架橋から60年が経過し、本業務では今後補修・補強して使い続けることができるかどうかについても検討したのですが、CIMモデルの利用例として、鵡川橋が無い場合の見えかたも表現してみました。
例えば、こんな使い方もあると思います。

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[18:00]
話しが変わりまして、ASPの活用のことです。
施工業者の皆さんも、現場での発注者とのやり取りはASPを使っていると思います。
設計業務として初めて中央コンサルタンツと苫小牧道路事務所の3者で試行しました。
業務序盤で最初に第一回業務円滑化会議を行い、通常の書類関係や決裁ルール決め、あと途中の打合せ簿なども電子決裁して、案件の重要度に応じた起案ルートも考えました。
あとあと情報整理し易いように、起案すべき案件の一覧とか統一ルールを決め運用しました。
みなさん、結構ブログを使用されていると思いますが、発信したら返事が何個も繋がるように極力リアルタイムで処理いたしました。
完成検査の時は、電子決裁にて処理された打合せ簿などすべて、紙面では無く、ディスプレイ上に表示し検査官に確認していただきました。

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 3次元モデルのやり取りはデータが重たいということで別のASPシステムとしてCIM-LINKというものを利用しました。
これにより、発注者は、高いソフトを買わなくても無償で立体のモデルを確認し見ることが出来ますので、お互い電話をかけながら同じモデルを見て打合せが出来ます。
 またこれも、完成検査の時に、ディスプレイ上に表示し検査官に確認していただきました。

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[20:10]
最後にまとめです。試行業務をやってみてどうだったかです。
まず、干渉チェックですが、沓座回りの複雑な鉄筋に干渉するかどうかについては非常に効果がありました。逆に配筋が密ではない、橋脚部のRC巻き立て補強は、正直、二次元でも良いのかなと思います。
課題としまして、複雑でなく二次元で十分検証が可能な箇所のモデル化をどこまで作り込むかです。コストとのトレードオフがありますから。 次に数量算出ですが、今回は構造物であり、二次元で算出したものと差異はありませんでした。何度もトライアルで形状を決めていく時は便利と思われます。
次に設計照査ですが、一つの3次元モデルから不整合の無い図面が出来るため、ミス防止が図れます。但し、図面作成の手間が多いのが将来の課題となります。
次に設計打合せですが、スペックのよいノートパソコンとディスプレイを使用することで、モデルの多方面からの可視化が可能となり、理解度が飛躍的に向上しました。
最後にASPですが、大容量データのやり取り、確認についてはCIM-LINKを活用することで、発注者側のコスト負担を避けることが出来ました。

[23:00]
中村(司会):池田様ありがとうございました。(拍手) [END]