講習会の記録 id:264299-07 date:20140807 title:「いまさら聞けないCIM」

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「パネルディスカッション」の発言録

コーディネイター:
  国土交通省 北海道開発局 事業振興部 技術管理課 技術開発係長 中條 高司 (なかじょう たかし)
パネラー:
  国土交通省 北海道開発局 苫小牧道路事務所 計画課 道路防災専門官 蛯澤 敦(えびさわ あつし)
  一般社団法人 建設コンサルタンツ協会 北海道支部 情報委員会 委員長 雫石 和利(しずくいし かずとし)
  株式会社ドーコン 構造部 担当次長 池田 準(いけだ じゅん)



[経過時間 00:00]
中村(司会):パネルディスカッションはコーディネイターの中條 高司様に進行をお任せいたします。

中條:それでは、パネルディスカッションを進めて参ります。
 私、コーディネイターを務めさせていただきます、北海道開発局 事業振興部 技術管理課の中條と申します。宜しく御願いします。
 それでは、パネラーのご紹介をいたします。



中條:発注者側から昨年度2本の耐震補強業務でCIM試行を担当された苫小牧道路事務所防災専門官の蛯澤 敦氏です。

蛯澤:エビサワデス。ヨロシクオネガイシマス。

中條:講演いただきました、建設コンサルタンツ協会 の雫石 和利氏です。

雫石:宜しく

中條:同じく講演いただきました株式会社ドーコンの池田 準氏です。

池田:宜しく

[02:10]
中條:CIMの講演会については、全国の大都市であるとか、北海道であれば札幌になりますが、 パネラーの雫石さんは、そのような各地の講習会に相当ご活躍されているようで、かなりお忙しいことと思います。
 今回このような地方部での開催は希かと思います。タイトルも「今さら聞けないCIM」と言うことですので、地方の建設業や地方のコンサルタントが聞きたいことを代弁する形で進めたいと思っております。
 蛯沢さんに、いきなりの質問で申し訳ないのですが、単刀直入に、本日お見えになっている出席者の地方の建設業の方は、CIMに対して具体的に何を準備したらよいか教えていただきますか?

蛯澤:本日の様な講習会に参加して、情報を知ることで十分と考えます。全く慌てる必要は有りません。そのような意味では、本日出席の皆さんは一歩進んでいると安心してよろしいでしょう。

中條:将来的にCIMにより土木の現場は、どのように改革されるとお思いですか?

蛯澤:(フリップ示す)

① 「地形測量が無くなる。」
② 「現場から丁張りが無くなる。」
③ 「出来形測定が無くなる。」 

ここに一枚のフリップを用意しました。 数年後の話しではなくて、近未来的な話しとなりますが。衝撃的でしょうが、
 一つ目として今後CIMの活用が進んでいきますと最終形としては、3次元データの管理により「地形測量は無くなります。」 測量会社さんがおこなっている地形測量はいっさい無くなるでしょう。
 2点目として「現場から丁張りが無くなります。」 3次元の設計図がありますと、情報化施工と組み合わせる事により、丁張り無しに重機が切土してくれる事などは容易に想像がつくかと思います。
 3点目として「出来形測定は無くなります。」 たとえば、切土の出来形などは衛星システムを用いた計測によりおこない、データを連携させると出来形測定の必要はなくなるでしょうし,それを日々管理を行う事により、切土量の進捗管理も同時にできてしまいます。


中條:これが出来れば、3Kいわゆるキツイ、キタナイ、キケンこういったものが解消されて職場環境の改善につながるのではないかと思います。
 特に、近年建設業界で、若手技術者が少ないな中で辞めてゆく人も多いという現象があるのですが、こういった3Kを解消してゆくことで、魅力ある建設業界に変えていかねばならないと感じています。
もっと、身近で現実的な話しをお聞きしたいのですが、鵡川大橋は、耐震補強の業務成果があるわけですが、これが今後、例えば工事発注されたときは、どんなことになるんでしょうか?
 具体的にいうと、出来形のCADデータとか?



蛯澤:おそらく、鵡川大橋は試行工事として取り扱われる事になるのでしょう。実際の契約方法は、従前の2次元設計図面による契約は同じであり、完成図としての出来形図も2次元により納品する事には変わりないでしょう。 それにプラスして、試行の3次元完成図を作成する事になるかと思います。
 PCやソフトの購入がどのように積算されるか、または、されないか気になるところではありますが、  3次元の完成図を作成するにあたり、ノウハウですとか経験と技能のあるコンサルタントにレクチャ-を頂くことになるかと思います。鵡川大橋ですと、ここにいらっしゃるドーコンの池田さんに助けてもらうことになるでしょうねー(笑)
 試行と言っても、設計コンサルタントと工事受注者の連携については特記仕様書に明示され、発注者、発注者支援業務も含めて4者で協力してゆくことになるでしょう。

中條:池田さんが相当助けてくれるらしいですが?

池田:(笑)勿論、どなたが受注されても、基本は私どもが作成していますから、是非お手伝いさせていただきますのでご安心下さい。無償とはいきませんので、受注者の方は上手に積算してほしいです。


中條:そのへんは、蛯澤さん宜しく御願いします。 さて、幅広い活動を成されている雫石さんのお考えから、将来的な展開についてここにおられる地元建設業のみなさんへのアドバイスや参考事例をご紹介いただけませんか?

雫石:発表でお話しした通り熊本大学の小林一郎教授の平成25年度の報告書ICTを活用して現在の仕事を効率化するという観点があります。 最近のソフトウェアは、昔と比べだいぶ使い勝手が良くなっていますので、もっと、現場のみなさんに身近なものとして、こんなことが出来ますよということを紹介いたします。
 IT関係に強い代理人さんは、こういうことに興味があるのではと思います。 何かの工夫に使いたいとなると、真っ先に思い浮かぶのが施工計画書の挿絵や住民説明です。特に任意仮設ですね。私はあまり詳しくは無いのですが、皆さんそれぞれ相当工夫されて作成されているようですが、 3つほど、思いついたものを紹介します。

(フリップ)

① 足場モデルを配置組み立てし数量集計
② 仮設道路の検討
③ 住民説明資料作成 



一つ目ですが、橋脚の耐震補強で足場を組むとなれば
(プロジェクター)


規格品の仮設材を使用することが多いでしょう。 こういう仮設材のパーツを3次元で一つ一つ各自が作ることは大変ですが、 足場材や山留め材などの汎用製品には、3次元データが公開されているものもあります。 枠組みの足場材などは、一個一個コピーペーストで積みあげて行くわけではなく、範囲を指定すれば繰返しの部品を配置してくれます。また、数量も自動で集計することができます。 このあたりを入口とすると楽しいのかもしれません。 橋脚の鉄筋まで作成することは必要ありませんから、躯体の外観のみ3次元化しないとダメですけど。
 二つ目ですが、 (プロジェクター)
これを見て下さい。仮設道路の検討です。地形データなりに勾配を制限して道路を計画することができます。板のパーツを繰返し配置するだけでかなり見栄えの良い仮設計画の挿絵になります。
 三つ目です。 (プロジェクター)


通学路を意識したダンプ経路ですよと言うことを住民説明する図に使うとか こんなのは簡単で身近で出来そうです。 (この3つは、実際にソフトを操作して紹介します)

中條:非常に具体的な例で大変参考になると思います。仮設道路なんかもシムシティみたいな感じでやってみると面白そうです。
あと、CIMが維持管理に結びつくことが求められますが、維持除雪工事、いわゆる年維持おいて、なんだか未だ未だ遠い話しのようですが、どんなところに活用が見いだせるのでしょうか?

雫石:(プロジェクター)国道の維持管理は、道路台帳で1本の線としてキロポストで管理していると思います。これからは、GISを活用した維持管理が標準になると思います。そうなると座標で管理することが一般的になるでしょう。 後何年後には、準天頂衛星が本格運用され、センチメートル単位で位置を特定できると言われています。GISで管理している情報と、現実世界がリアルタイムに一致する時代になります。これはCIMが目指しているもう一つの観点である将来像(仮想空間が現実世界の先導役を果たす)と言えるでしょう。年維持受注者さんがGISに興味を持ち取り組んでゆくことはCIMの準備をしていると言えます。

[21:10]
中條:ASPによる情報共有も、年維持に不向きと思われていた常識が、まさかこれほどマッチングするとは意表を突かれたものでしたが、同じようにCIMへのアプローチが年維持から何か起こることを期待したいですね。
 さて、“CIMイコール3次元CAD”と言ってしまうと間違いなんでしょうが、やはり気になるのは、どれぐらいの費用がかかるか皆様方も気にしてると思います。 PCやCADソフトを準備しようとしたら、どんなことになりますか?
 PCのスペックについては、蛯澤さんフリップがあるようですが。

蛯澤:(フリップを示す。出所:2014/7/17開催 土木学会CIM講演会2014(札幌)にて、「計画・設計事例と施工の連携」より 土木学会土木情報学委員会国土基盤モデル小委員会 副小委員長 藤澤 泰雄氏)



 3次元モデルの修正や作成を行う場合ですが、その時は高いPCスペックが必要です。OSは64bit window7,8、CPUは予算内でできるだけはやいもの、 HDDはSSDか、(Solid State Drive)、SSDキャッシュ付き半導体(メモリであるフラッシュメモリを使用したもの)メモリは16 Gバイト、最低でも8 Gバイト。グラフィックボードは動画編集(レンダリング)を行わなければ、あれば良いと言った感じで、30万円ぐらいで売っています。 ビューアーで見るだけですと、コアi5のメモリー4ギガ程度の標準的なスペックで良く、買い換える必要はありません。

中條:なるほど、見るだけなら一般的なPCで十分ということですね。 雫石さんにお聞きしたいのですが、ソフトについてはどうでしょうか?

雫石:本日の事例紹介で使用したソフトのうち、オートデスク製品 Civil 3DとRevitR Structureはセットで100万円程度します。フォーラムエイトのUC-Win/Roadも100万円程度と、試しに買ってみるというレベルの価格ではありません。
(フリップを示す)


 ハイテク製品、IT製品のマーケティング(売る側)の理論ではキャズム理論というものがあります。 こういう客層がある。2.5%はイノベーターと呼ばれ改革すると捉えがちですが、ここでいってるのは新しもの好きで飛びついて買ってくれるコスト意識の無い層です。その次に買う人は、アーリーアダプターで、ただ単に買うんじゃなく、それが自分の仕事をどのように変えて行くか考えに基づいて、使えるかどうか評価してゆく一番厳しいユーザです。売る側として大変ですが、使う側としては一番大切な人です。 イノベーターは放置しておいていいです。まーこういう人もいないと困りますが。 一般の商品では、イノベーター理論で合わせて16%まで製品が普及すれば、勝手に買ってくれるということです。ただし、IT製品は違ってキャズムという深い溝があり容易に飛び越すことが出来ません。飛び越すためには、ちょっとした工夫で、あなたの仕事はこれだけ楽になりますよ!みたいにしないと広がりません。 CIM関連ソフトは、まだ、他社に先んじて新技術を採用しようという16%未満の市場です。これが、キャズムという深い溝を超えてユーザが急増すると、安くなるかもしれません。 ソフトウェア・ハードウェアの導入については、様子を見て、その時まで待つか、他社に先んじて導入するかという戦略的判断が必要となります。

中條:わかりました。私もイノベーターに近いところがあるようなんですが、嫁が許してくれないので(笑)

雫石:イノベータ一は嫁の判断が関係ないですから(笑)

中條:確かに昔高かった商品も買いやすくなってきてます。みなさん買っていただいて “CIM層”とも言うべきユーザが増加してほしいと思います。

[29:10]
中條: 続けてですが、PCやソフトを購入したとして、それを操る側の技能としては、どの程度が必要か意見いただけますか?

雫石:一つのソフトウェアですべてのことが出来るわけではないので、それぞれ、どのようなデータを活用し連携できるかという知識が重要になります。 オートディスク製品ですと、私が所属しているCUG(Civilユーザグループ)に会員登録していただくと多くの情報を入手できます。北海道は2006年から活動してます。初期の参加者はイノベータですね。現在はアリーアダプターが中心です。無償ですからどうぞ参加して下さい。
個別製品の操作に関しては、独学で習得するのは難しいので、各種セミナーに参加して体系的に技術習得された方が良いと思います。
CUG北海道分会でもセミナーを定期的に開催していますが、北海道では、7月から産学官CIM・GIS研究会を設立し、人材育成にも取り組んでおります。ちょっとお金かかります。こちらでは、初心者を対象としたセミナーを11/26に開催する予定です。民間企業は有償になりますがどうぞ参加して下さい。 さらに、今回紹介した動画をお借りした岩崎さんや、大塚商会さんでも、セミナーを実施しています。



中條:いつの間にか、”バンセン”的なものがあったようで(笑)
 私も、CGUのハンズ・オントレーニングに参加したことがあります。全くCADは使えない度素人なんですけど、本当にわかり易く教えていただきまして、独学より教えて貰う方が伸び率が早いですから、このような講習会に参加していただき技術を磨いていただきたいと思います。 ちなみに、池田さんの話もありますが、3次元から2次元の図面を出力出来るんでしょうか?手直しもあると言うことで、作業効率を考えると非常に気にかかりますが?.

池田:わたしから答えさせてもらってよろしいでしょうか? 先ほど、私の講演でも述べさせていただきましたが、結論らか言うと可能なんですが、ボタンひとつで一瞬にして出来上がるのではなく、地道に書き込んでいく状態で、現段階で図面作成時間の短縮が図れる段階まではきていません。ソフトメーカーさんには是非改良していただきたいです。

中條:このあたりのニーズは、ベンダーに強く届いていると思いますから、改善を心待ちにしましょう。

[34:05]
中條:話しを変えまして。視点を建設コンサルから見た場合に移したいと思います。 当然、設計を行う建設コンサルタントは工事の上流に位置するわけで、 CIMの波は先に訪れる訳ですから、地方の建設業より対応の危機感は強いのかと思います。
 池田さんの携わったH25年度の鵡川橋の耐震補強業務は、CIMのイメージからすると現道橋梁の復元という身近なもので、言ってみれば局所的小規模であるわけです。 その点から見ますと、地方の建設コンサルの身近にある試行業務と言っても過言ではありませんし興味のあるところでしょう。
 そこで、池田さんにお聞きしますが、取り組みの苦労やこれからCIMに取り組もうとするコンサルタントのみなさんへのメッセージをいただきたいのですが?

池田: さきほど事例紹介させていただいた「鵡川大橋の耐震補強設計」の開始が、7月末でしたのでちょうど一年がたちます。苫小牧道路事務所の方々には言いづらいのですが、実は当時、CIMという言葉を知らない状態でした。(笑)
社内ではかなり情報分野に関しては遅れている方です。実は2次元のCADも自分では操作できない。そこから業務が終わる2月末、実質7カ月の間で色々と勉強して行きました。
(フリップを示す)

Plan(計画)   → 情報収集、準備
Do(実施・実行) → 試行業務遂行
Check(評価)  → 試行業務の検証
Act(処置・改善) → 今後の処理、課題 

良く言われるPDCAサイクルに例えて、話をしたいと思います。



 ”Plan” 計画段階ですが、情報収集として「土木学会」「大塚商会」さん、「岩崎」さんなどが主催する講習会に参加、日刊建設通信新聞社が出版されている「CIM」に関する定期的な冊子では他社が行われているCIMに関する情報がのっていますので、これを読んで情報収集をしました。また、先ほどの会社の営業の方に直接色々ヒアリングしました。皆さん色々親切に情報をくれました。 また、私の場合は恵まれていたのですが、社内にCIMを専門に進めていこうと推進室をこの時期に立ち上げたのも追い風となりました。そこでは先行してソフトやスペックの良いパソコンを準備していました。 そんなこんなで情報を収集しながら次のDo実施段階へ移行します。
 ”Do”試行業務の遂行ですが、どの部位を対象とするか。当然全体を精密にモデル化するのでは時間も費用もかかります。ここは既設橋の耐震補強であることから、事例紹介でもあげさせていただいた、橋脚を巻き立てる代表としてP4橋脚、落橋防止システムを設置する代表としてP2橋脚を選定しています。ただ、結局はモデル作成の自主的な勉強や今後様々な活用を意識してアーチの鵡川橋も含めて全体をモデル化することとしております。 既設橋の設計図をベースにモデル作成を先行しており、新設橋のように図化が後回しとならなかった点が試行し易い点でした。あとは、ソフトの使いこなしなど社外から講師を招き講習会を行いました。
 ”Check”検証ですが、CIM導入のメリットデメリットとして、メリットは色々と各方面で言われておりますが、デメリットはやはり、コストや時間がかかること。新しい技術を導入していくわけですから、人材育成が必要となることが挙げられます。コストはPC、ソフト購入、時間は通常の成果品プラスアルファでの作業ですから当然時間がかかります。また、技術を使いこなせる人員の教育も大切です。
 ”Act”今後の処置、課題ですが、折角習得した技術を使わないのはもったいないです。今では技術提案にCIMを活用することを書くようになったり、実務段階でも最初に業務をはじめたスタッフが少しずつ、周りに伝えていき使える人数が増えてきています。身の回りではこんな状況ですが、今後、施工・維持管理段階にモデルが引き継がれて使われていくためには、モデル精度、標準歩掛など積算体系の整備、その他として属性情報は何を入力するかなどルール作りなども必要になってきます。



中條:まさか池田さんがCIMを知らなかったと言うようなカミングアウトがありました(笑)
貴重な体験談ありがとうございました。PDCAサイクルにまとめられた池田さんの話は、是非ともコンサルタントの皆さんの今後の業務に活かしてもらえますようお願いします。

[41:10]
中條:最後に、今後の入札制度や納品の制度はどうなるとお考えですか? 蛯澤さんお願いします。

蛯澤:制度のはなしは、難しいことだと思います。
 3次元データの契約方法や納品方法というのは、まだ何も全国的な統一のルールも無いわけで、電子納品については、フォーマットさえ決まれば納品するのは可能でしょうが、契約図書としてはどうかなるかなと思います。何と言っても日本は紙と印鑑で契約する社会で行われてきていますから、紙で表現できない3次元データをどのように契約するのか関心があるところで、もう一枚フリップを用意しましたが、  官側が取りまとめる「CIM制度検討会」が平成24年8月に発足しておりますので、そこで論議されてゆくでしょう。
 そのあたり、鵡川大橋の耐震補強がCIM試行対象工事となった場合、どのように反映されてゆくのかみなさん関心をもって見ていただくと良いかもしれません。 何れにしても、複雑な制度にはしないで業務軽減に結びつくようなものにしていただけたらよいと思います。

中條:契約関係の書類というのは、見読性や原本性の観点から紙ベースの処理でかわされているのですが、 既に入札ダウンロードシステムやルールが有ますから、それらをうまく使っていって利用すると、CIMのような3次元のモデルを公示するようなことも若干可能なのかなと個人的には思います。 蛯澤さんのおっしゃるように、複雑にしないで業務改善につながるようにしていって欲しいものです。

[43:30]
中條:パネラーのみなさん、まだまだお話しいただきたいところですが、そろそろ終わらせていただきたいと思います。
 ここで、会場のみなさまからパネラーの方への質問をいただきたいと思います。所属とお名前をおっしゃって発言願います。

質問者:タナカコンサルタントの大西と申します。ドーコンの池田さんがCIMを知らないで取組んだということですが、CIMを理解し軌道に乗るまで、どれくらい時間を要しましたか?

中條:ご指名ですので池田さんお願いします。

池田:今から丁度1年前、何も知らなかったです。先行事例も平成24年度は11事例しか無くて、まねできるモデル(既設橋梁設計の事例)も無くて、とにかくやってみようと言うことで2ヶ月くらい情報収集しながら同時に作業を進めていった感じです。まだ現在は、(全国的に)解らないことがいっぱいあり、少しずつ情報を(全国で)蓄積している段階です。100%は無理ですから、少しずつ出来るところからやるのがコツかなと思います。

[45:30]
質問者:メイセイ・エンジニアリングの伊勢谷と申します。本日は、我々地方コンサルタントにとっても興味深いお話を聞くことができました。
 今後、CIM導入設計業務が増えていくと、例えば耐震補強設計や橋梁補修設計だと既設橋モデルのストックが増え、将来的にはマイクロ図面を借用する感覚でモデルデータを入手できるようになるのかな、と期待しております。我々の努力も含め、まだまだ先だとは思いますが。そこで気になるのが「データの汎用性」です。現状におけるモデルデータの汎用性・互換性はどのような状況なのでしょうか?
 例えばAutodeskさん、Forum8さんの独占状態で他社製品が参入する余地が無いのか、またソフトメーカー間の互換性は良好なのか、など、現状の印象や動向などをお聞かせいただければ、と思います。




中條:ソフトの関係なので、雫石さんお願いします。

雫石: 互換性と汎用性ということですね。データとソフトウエアと分けて考えた方が良く て、 データについては国際標準として検討しているところがあります。昔はIAIと言っ ていたんですが buildingSMARTという団体が取り組んでいます。先行しているのはBIMで、BIM 対応ソフトが どうやってデータを受け渡すのかを決めています。 今年の4月に国際標準になって ます。  なので建築の方が一段落したので openINFRAとして公共インフラ系の標準化作業が 動き始めました。
日本国内では、大阪大学の 何年か前に室蘭工大にいた矢吹信喜先生が中心になっ て、 これから建設系のモデルの標準化がスタートしています。
 いろんなソフトウエアで使えるようになるので独占ってゆうことは無いでしょう。
 特にGISでは、 国際標準になっていますし、一方で デファクト的なスタンダー ドになっている ArcGISのデータ形式は QGISでもそのまま使えるので、 そんなに気にしなく て良いかなと思います。
 現状でも情報化施工にデータを渡すとき中心線とか地形のデータをLandXMLで渡 すと、そのまま使える とか、維持管理ではGISやExcelとかそういったそれぞれ使いやすいものでデー タを連携活用できれば良いと 思います。

[51:00]
質問者:北海道道路エンジニアリングの佐藤と申します。本日は,とても興味深いお話を聞くことができました。パネラーの皆様をはじめ,関係者の皆様大変ありがとうございました。
 私から一点お教えいただきたいことがございます。CIMの本格的運用までにはどのくらいの期間があると考えてよろしいでしょうか?
 CIM関連のシステムを会社として本格的に導入するまでの猶予期間がどれくらいあるのか,5年・10年単位で構いませんので御教示いただけますでしょうか?



中條:これも、雫石さんですか。

雫石:私見です。GISは20年かかりました。これからCIMはどうかと申しますと、同じようにCIMは10年、20年かかるのかとういのは、国がどう推進するのかにかかってきますので、ここは是非中條さんに…(笑)

中條:コメンテーターでは無いんですが… 先ほど何方かの資料で、導入計画の見直し方針と言うことで、平成26年度はSTEP2試行の拡大期間です。どんな拡大かというのは、単純に詳細設計をやっていたものを、上流側の予備設計や測量を含めて広げたりとか、試行業務で実施したことを工事へ移して行く段階となっています。
  データの連係ですが、試行業務から工事へ連携を検証している最中で、平成27年度までに実施する予定になっています。
 その後、平成28年度を目処に優位適正の高い事業を検証し「先導的な導入事業」を運用していく様な話となっています。今後、これら業務における効果の検証や検討等の中でスケジュールが変わっていくかもしれません。
  CIMが具体的にいつからとは言えませんが、近い将来CIMが当たり前になってゆくのは間違いないかなと思ってます。

質問者:冒頭に蛯沢さんから、将来的にCIMの活用により地形測量が無くなるとおっしゃいましたが、測量を生業(なりわい)とする我が社としては危機感が高まるのですが、地方の業界はどうなってゆくのか?どうしていったらいいんでしょうか?



中條:不安を掻き立ててしまった、蛯澤さん、お願いします。

蛯澤:フリップの意図は、あくまでCIMにより現場が変わるということを現場の技術者のみなさんに、わかりやすく表現したかった事でして、まさか、コンサルの方を刺激してしまうとは、予想外でした。 将来的とは、時間的軸でいいますと、数十年先の話しの事で、CIMが試行段階イコ-ル、すぐさま、すべての地形測量が無くなるとは思いません。あくまでも近未来の話です。
 大前提ですが、CIMが求める究極の目標は、IT技術を駆使し、高度に情報を集約することにより、徹底した効率化を追求するものと解釈しています。そのような発展の中で、残念ながら不要なものが淘汰されてゆくのは世の常で効率化の面から自然の成り行きであり、避けられないことです。
 橋本さんの基調講演にもありましたが、発注ロッドが大型化するですとか、デザインビルドですとか、コンサルタントが現場に強く関与するなんて話しがありましたが、もっと激しく言いますと、「建設業界の再編」や「構造改革」が起こるだろうということです。 また、建設業の労働者不足が深刻ですが、外国人労働者の受入れなど移民問題にもつながります。
 生産性という言葉は最近よく聞く言葉です。経済学の用語ですが、より少ない労働力や資本、エネルギー、原材料でより価値の高いものを生み出すと生産性が高いといえます。かつて、建設業は今現在、最高益を記録しているトヨタ自動車に代表されるような製造業よりも生産性は高かったというと信じられないでしょう。それだけ建設業は生産システムの改善に大幅に遅れてしまったわけで、仕事のやり方は従前の方法に捕らわれずに、根本的に変革してゆく必要があります。CIMというのは、建設業の生産性を回復する切り札に感じてまして、理想を言えば、この苫小牧地区をCIM特区として、真っ先に日高自動車道周辺を3次元モデル化できたらと、妄想したりしてます。(笑)
 話しが大きくなりましたが、現時点では、試行は大手のコンサルやゼネコンの活躍の舞台ですが、CIMの波は、徐々にではありますが確実に地方に迫ってきます。地方の建設業がそれらの変革にフレキシブルに順応できるよう各企業に危機感をもって対応していって欲しいと考えますが、まさに本日の講習会の目的が、地方が、そのハードランディング(強行着陸)ではなくソフトランディング(軟着陸)出来るための第一歩にしてほしい願いが込められていると、私は理解しています。  

中條:この辺で質疑は終わらせていただきます。 パネラーの皆さんは、これからも北海道あるいは全国のCIMの発展に注力されることと思います今後も宜しく御願いいたします。  冒頭に基調講演をいただいた、橋本さんは事務官と言うことですが、我々、技官などよりよほど理解されているようで驚いておりますし、その内容が国土交通省の情報共有システムのガイドライン改訂にすみやかに反映されたというのも功績かと思います。今後もご活躍を期待いたします。
 このような地方都市で、このように現場に近い視点からCIMを掘り下げた講習会は初めてでは無いかと思います。北海道のCIMの促進を進める立場にある私としましても、非常に参考になりました。聴講されたみなさまも貴重な経験をされたと思います。この苫小牧の地区がCIMの先進となる可能性を予感させていただいたとこでパネルディスカッションを終了させていただきます。  みなさん、ありがとうございました。



[58:00]
中村(司会):本日の、パネルディスカッションは非常に有意義でございました。
 出席された方が、今後参考にされることを考慮いたしまして、ディスカッションの発言要旨精査のうえ、
WEBに公開されておりますCPDSプログラム案内の直下にてご報告いたしますので、後日ご覧下さい。