講習会の記録

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いなかのCIMとGIS

「道路附属物点検業務におけるGIS活用例」

 講師:株式会社タナカコンサルタント 地理空間情報部 主任技師 大宮 健生

 以下の資料は、受講者の技術研鑽に役立つことを願い、講師のご厚意により提供いただいたものです。


20160126公開

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司会: ありがとうございました。それでは続きまして、『道路付属物点検業務におけるGIS活用例』と題しまして株式会社タナカコンサルタント地理空間情報部主任技師の大宮様、宜しくお願いします。

大宮: 大宮と申します。よろしくお願いします。私は普段は測量とグレーダーを専門にやっていて、今までGISに触れてはいたんですが、  という状態で、今回道路附属物点検を始めて、こちらも初めてチャレンジしました。

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今日の発表の内容をご紹介したいと思います。

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業務内で点検表などの成果を作成するのですが、
それらを高度利用化できないかと考えたのが、GIS利用きっかけとなりました。 ★

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点検業務での作業の流れは、概略次のようになります。
・.点検対象の抽出  エクセルの施設一覧表より、設置年や過去の点検履歴をキーにして、点検対象を絞り込み、維持台帳図より場所を確認する。
・.現地確認  拾い出したリスト、図面、台帳をもとに現地確認を行います。
・.実施計画  現地確認結果をもとに、点検対象を確定し、点検手法や安全対策等の計画を行います。
・.点検実施  高所作業車を使用して、各部材の点検・写真撮影を行います。
・.成果まとめ  点検の各種帳票、写真帳を作成して、報告書として取りまとめます。
今回は、最後の成果まとめの段階で、GISを利用して点検結果をまとめることとしました。 ★

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ところが、
実施計画策定までのプロセスの中で、次のような問題点が出てきました。
・調査対象施設がどこにあるかはっきりわからない
一覧表より抽出したものを距離標の値などをキーにして、維持台帳図で位置の確認をするのですが、
 図面の情報量が多く見つけづらかったり、図面が更新されていなかったりと、照合が困難なこともあり、
 手間のかかる作業でした。
また、現地に行くと施設が対象外のものだったり...ということも。 ★


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問題の原因として次が挙げられます。
・台帳・図面・施設管理データ・既往点検結果等が、ばらばらに管理されているため、それぞれの情報の結びつきが弱い。
・過去の点検結果などの、情報量も多く参照しにくい(大量のEXCELファイル...)
※常時これらの情報に触れている人であれば、必要な情報に容易にたどり着けるのでしょうが、そうでない人には困難でした。 ★

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そこで、
当初は点検調書を座標で地図とリンクするのみの予定でしたが、
一覧表などのエクセルデータの情報と、各種台帳も含めた形でGIS構築の必要性を感じたため、 今ある情報を座標を使って整理してみることにしました。
GIS構築にあたっては出来るだけシンプルな構造にするために、
位置情報をポイントデータとして、既存のエクセルデータより地物属性を付加し、
それに台帳、点検調書をPDFファイルにしてリンクさせました。
背景ベースマップも、地理院地図・Google衛星写真を利用することとして、
出来るだけ簡単に手間をあまりかけずに作成しようと考えました。 ★

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手軽にGISを構築するために、
今回使用したGISエンジンは、オープン・ソース・ソフトウェアである
『QGIS:キュー・ジー・アイ・エス(旧名称:QuantumGIS)』。を選定。
~QGISを利用するメリット~
・無償のため、ソフトウェア導入の初期費用がかからない
・プラグインソフトが豊富で機能の追加が容易 ・地理院地図、Googleなどの地図や航空写真を利用することで、ベースマップの初期整備・更新作業を省略できる。
  ※注1:地理院地図は市町村の都市計画基本図がベースとなっているので、市町村が更新しないかぎり更新されないが、
    大規模な工事があった場合は迅速更新により更新される。(高速道路の新規開通、大規模な河川改修など)
  ※GoogleMAPなどはライセンス規約に注意が必要。
~QGISを利用するデメリット~
・マニュアルの整備が十分ではない
 マニュアルの日本語化が遅れがちなので、便利な機能があるけど気づかなかったり、使い方が分からないなどがある。
・プログラム上に欠陥があっても提供者は責任を負わない、利用者の責任において利用する。
・そのほか2バイト文字(日本語)に起因する障害が多い。 ★

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現地踏査用の資料を作成して、業務中にも利用してみました。
GISには座標が欠かせないのですが、この段階ではまだ位置情報がないため、 GoogleEarthや地理院地図(オルソ写真)を利用して、
コンピュータ画面上で大まかな座標値を取得し、『地理院マップシート』にて属性付与やKMLファイルの入出力を行いました。
GoogleEarthのストリートビューを利用して、現地踏査前の予察も出来ます。
※Googleの画面はライセンス規約に触れそうなので省略。
QGISにKMLファイルをインポートして、プリントコンポーザ機能を利用して簡単に現地踏査資料図を作成できました。
現地に入っても迷うことなく、効率よく移動することができました。 ★

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つぎに、
現地踏査、点検の現場作業時に、ひと手間かけました。
GoogleEarthで取得した位置情報にはズレがあるため、もう少し精度を上げる為に、現地で簡易的なGNSS測量を行いました。

今回使用した機器
TOPCON GMS-2(メーカー公表の精度はRMS0.5m以内)
観測方法:単点観測法(3エポック)
制限値:RMS1.0m以内(MSAS(エムサス)信号使用)⇒単独測位よりは精度が上がる
※経緯度0.1秒単位での表記は、メートル換算で2~3m程度の位置精度なので、簡易的な観測手法を選択。
精度的に問題がなければ、スマートフォンやデジタルカメラのGPS機能を使ったり、
移動しながらのGPSログデータ(GPXファイル)の利用も可能になるのではないかと思われます。 ★

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現地で取得した座標をもとにQGISでポイントデータを作成し、属性を付与、PDFファイルのリンクを設定しました。
路線ごとにレイヤを作成して、種別ごとにアイコンを作成し、点検結果の判定を色別に表現。
表示スタイルを変更することで、いろいろな主題図を作成できます。 ★

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属性テーブルで検索・抽出も行えるため、種別や設置年でフィルタをかけて、必要な情報に短時間でたどり着けます。
当然、地図とリンクしているため場所の特定や、資料図作成等も容易になります。 ★

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実際の操作画面を動画実際に操作している状況を動画にしましたので、ご覧ください。
航空写真の道路中心をなぞったものを、画面左上にある全体図に利用しました。 全体図上での移動表示も可能です。
その下にはデータのツリー構造が表示されます。 背景地図・航空写真の切り替えはこちらで行います。
路線ごとにまとめたデータに、種別・判定結果での表示ルールを設定しました。
地図上のシンボルマークをクリックすることで、点検表などのPDFファイルを開くことが出来ます。
また、クリックしたシンボルの個別属性情報も見ることが出来ます。
属性テーブルで属性一覧も確認できます。
こちらで属性検索を行い、地物の抽出が可能です。
例では設置年で検索して、1件の地物を抽出して、地図上でその場所の確認をしています。★

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今回は試験的に、業務で点検した範囲内でのデータ構築を行いました。
附属物点検業務は5年で全施一回りするため、4年後には管内の全データが揃う予定。
それまでに解決したい課題として以下があります。
課題1:データベース管理の為の、全施設の個別IDの整備が必要。
     (現状は管理番号が有るもの、無いものが混在しているので『仮ID』で対応)
課題2:整備対象属性の決定(本当に必要な物に絞込みたい)
     (全施設データが揃うと、データ量が多くなり、属性データが煩雑になる)
課題3:最新版管理、履歴保存のルールなど
     (データ蓄積によるデータ量増加、煩雑化) ★

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ご清聴ありがとうございました。


§7「3次元計測と3次元モデル活用事例」/東鵬開発



《関連情報》

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今日から使う「QGIS」の手引き


▼テープ起こしより

今回の業務の内容なんですが、197基の点検を行いました。
作業の流れとしまして、まず最初に点検対象の抽出を行いまして、エクセルの施設一覧表より設置年や過去の点検履歴をキーにして、点検対象を絞り込む作業をして、絞り込んだ対象に対して現地で照合をしました。それを経て実施計画ということで 現地確認結果をもとに点検対象を確定し、点検手法や安全対策等の計画を行います。そしてようやく点検の実施ということで高所作業車等を使用して、各部材の点検・写真撮影を行います。そして最後に成果のまとめとして点検の各種帳票、写真帳を作成して、報告書として取りまとめます。 今回は、最後の成果品のまとめの段階で、GISを利用して点検結果をまとめることとしました。 ところが実際、実施計画の策定までの対象物の抽出の際にいくつかの問題が出てきました。 調査対象の施設がどこにあるかわからない。一覧表より抽出したものを距離標の値などをキーにして、維持台帳図で位置の確認をするのですが、その情報が見づらかったり図面が更新されていなかったりとありまして、照合が困難な作業でした。実際現地に行くと施設が対象外のものだったりとか、これはきちんと図面情報を読み取れていなかったためと思います。これらの問題の原因として何があるかというと次のものが上げられます。 まずは台帳・図面・施設管理データ・既往点検結果等が、ばらばらに管理されているため、それぞれの情報の結びつきが弱い。過去の点検結果などの、情報量も多く参照しにくい。常時これらの情報に触れている人であれば、必要な情報に容易にたどり着けるのでしょうが、今回私は初めてだったのでなかなか困難でした。 そこで、当初は点検調書を座標で地図とリンクするのみの予定でしたが、一覧表などのエクセルデータの情報と、各種台帳も含めた形でGIS構築が必要だと感じたため、今ある情報を座標を使って整理してみることにしました。GIS構築にあたっては出来るだけシンプルな構造にするために、位置情報をポイントデータとして、既存のエクセルデータより地物属性を付加し、それに台帳、点検調書をPDFファイルにしてリンクさせました。背景ベースマップも、地理院地図・Google衛星写真を利用することとして、出来るだけ簡単に手間をあまりかけずに作成しようと考えました。手軽にGISを構築するために、今回はQGISを使用しています。簡単にメリットとデメリットをまとめています。 まず、メリットとしては無償のため、ソフトウェア導入の初期費用がかからない。プラグインソフトが豊富で機能の追加が容易。地理院地図、Googleなどの地図や航空写真を利用することで、ベースマップの初期整備・更新作業を省略できる。 デメリットとしてはマニュアルの整備が十分ではない。マニュアルの日本語化が遅れがちなので、便利な機能があるけれど気づかなかったり、使い方が分からないなどがあります。プログラム上に欠陥があっても提供者は責任を負わせられず、利用者の責任において利用する。ということがあげられると思います。 業務中にも現地踏査用の資料を作成して利用してみました。GISには座標が欠かせないのですが、この段階ではまだ位置情報がなかったため、 GoogleEarthや地理院地図を利用して、コンピュータ画面上で大まかな座標値を取得し、地理院のマップシートを利用して属性付与やKMLファイルの入出力を行いました。GoogleEarthのストリートビューを利用して、現地踏査前の予察も出来ました。QGISにKMLファイルをインポートして、プリントコンポーザ機能を利用して簡単に現地踏査資料図を作成できました。これを作成することによって、現地に入っても迷うことなく、効率よく移動することができました。 次に実際の現地踏査、点検の現場作業時にひと手間かけました。GoogleEarthで座標は取得してあったんですが、もう少し精度を上げる為に、現地で簡易的なGNSS測量を行いました。現地で取得した座標をもとにQGISでポイントデータを作成して、属性を付与、PDFファイルのリンクを設定しました。路線ごとにレイヤを作成して、種別ごとにアイコンを作成し、点検結果の判定を色別に表現しました。属性テーブルで検索・抽出も行えるため、種別や設置年でフィルタをかけて、必要な情報に短時間でたどり着けるようになりました。当然、地図とリンクしているので場所の特定や、資料図作成等も容易になります。実際に作業をしている状況を動画にしましたのでご覧ください。 (動画開始) 左上の方に全体図があります。そちらに移動することも出来ます。背景地図の切り替えはこちらでできます。種別と判定で色分け、見やすく出来ます。こちらでPDFファイルを設定しています。アイコンをクリックすると個別の属性が情報も見ることが出来ます。属性テーブルで属性一覧も確認できます。こちらで属性検索を行い、地物の抽出ができます。例では設置年で検索して、1件の地物を抽出して、地図上でその場所の確認をしています。今回は試験的に業務で点検した範囲内でのデータ構築を行いました。附属物点検業務は5年で全施設一回りするため、4年後には管内の全データが揃う予定であります。それまでに解決したい課題として次の3つがあります。 課題1としてデータベース管理の為の全施設の個別IDの整備が必要で、現状は管理番号が有るもの無いものが混在しているので仮IDで対応しています。課題2としまして整備対象属性の選定、課題3として最新版管理、履歴保存のルール化などがあげられると思います。これからデータ量がどんどん増えてきますとこの図にもありますし整理が煩雑になりますのでこちらのルール化が必要だと考えています。以上で終わります。有難うございました。 (一同拍手) 司: ありがとうございました。