講習会の記録

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 「4編 要約版 監理担当用」

 講師:株式会社ドーコン 環境保全部 主任技師 中村 裕 技術士(建設部門 建設環境分野)

 以下の資料は、受講者の技術研鑽に役立つことを願い、講師のご厚意により提供いただいたものです。なお、オリジナルデータの提供は予定しておりません。

▼他編へのリンク

「野生植物移植作業マニュアル(案)要約版」の改定点

第3編_木本類図鑑

第4編 要約版 監理担当用

第5編 要約版 作業担当用

第6編 要約版 調査担当用


20141015公開

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本編では、「日高自動車道 野生植物移植作業マニュアル<要約版>」は、監理担当編を説明します。

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はじめに、日高自動車道の建設では、計画路線上及び周辺で野生植物の着目種が確認された場合には移植を行い、環境負荷の低減や種の保存に努めています。 計画路線上で改変され新たに造成される道路のり面は、郷土種の落葉広葉樹と周辺の表土に含まれる郷土種の林床植物を用いて、自然林として再生するものとしています。
本要約版(監理担当編)は、本マニュアル(案)<本編>より編集しており、計画路線上及び周辺での野生植物の確認調査・移植方針の決定・着目種の選定・仮移植・再生地への本移植といった、一連の移植作業をまとめています。
監理担当者は、計画路線上及び周辺での確認調査、移植方針の決定、再生地への本移植までの全工程の監理をすることを想定しています。

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移植の手順は、①移植方針の決定、②着目種・植生ユニットの仮移植、③木本類(稚樹)及び低木類の仮移植、④高木の伐採、⑤木本類(伐株)の仮移植、⑥伐採木、使用しない伐株等の除去、管理、⑦表土の保管、⑧仮移植後の維持管理、⑨再生地への本移植となります。 監理担当者は、全工程を把握し、特に、①移植方針の決定と、⑧仮移植後の維持管理を主に担当します。

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移植方針の決定では、「①移植方法の決定」「②移植時期の決定」「③仮移植地のレイアウト」「再生地のレイアウト」の順で行います。
①移植方法の決定では、はじめに、移植する着目種・木本類を選定します。着目種は、表1の法律や文献を参考に、地域特性を重視して、移植の対象とする種を選定します。木本類は郷土種の自然林として再生するため、落葉広葉樹の高木種とします。これまで確認されている着目種・木本類は、表2・3及び第6編の木本類図鑑を参照してください。
次に、どの種を、どの程度移植するのかを決定します。その際、「遺伝的多様性の確保」という視点を重視して、表4、図1の考え方を参考に、移植の方法、数量を決定します。草本類の移植対象は基本的に多年草とします。木本類は育苗(種子採取・播種)等により育成し、再生地に移植することも考慮します。

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表1には、着目種の選定根拠となる参考資料を示しました。法律・条例としては、文化財保護法の天然記念物等、文献としては、環境省レッドリストや北海道レッドデータブックがあります。
日高地方の絶滅危惧植物について記載された文献も参考になります。


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表2には、計画路線上及び周辺で確認されている着目種(草本類・木本類)を示しました。

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表3には、計画路線上及び周辺で確認されている落葉広葉樹の木本類を示しました。

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表4・図1には、サクラソウ等の移植方法と考え方を示しました。移植方法としては、「①全ての株を移植する」「②なるべく離れた個体を選び部分移植する」「③各ジェネットから数株を選び部分移植する」が、考えられます。これら3つの方法の利点、欠点を考慮し、適例を参考に移植方法を考えます。

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移植方針の決定のうち、2番目は、移植時期の決定です。
移植適期と道路工事の工程を踏まえて、調査・掘り取りから本移植までの工程を決定します。
移植適期等は表5・6を参考に、マーキングや移植時期を決定します。
移植終了まで数年かかる場合には、年間工程だけでなく、複数年にまたがる工程をたてておく必要があります。

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表5には、着目種の移植・マーキング適期を示しました。

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表6には、木本類(稚樹)及び低木類(落葉広葉樹)の移植適期を示しました。

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移植方針の決定のうち、3番目は仮移植地のレイアウトです。
まず、草本類・木本類(稚樹・伐株)の移植数量と、表土の保管量に基づいて、仮移植に必要な面積を概算します。
次に、植物の生育に支障のない場所に仮移植地を確保します。
最後に、仮移植地では、整地の造成を行います。

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こちらの写真では、実際に行った仮移植地のレイアウトを示しています。

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移植方針の決定のうち、4番目は、再生地のレイアウトになります。
再生地とは、計画路線上で改変され、郷土種を用いて自然林として再生させる箇所のことです。
対象は計画路線上で新たに造成される切土・盛土のり面を主とします。

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再生地レイアウトの続きです。
木本類(稚樹・伐株)の高木種の植えつけは、基本的に盛土のり面のみで行います。
切土のり面で植えつけする場合には、将来倒木するので高木となる木本類を用いず、低木類及び表土を活用する緑化工法を検討します。
切土・盛土のり面への緑化については図2、盛土のり面での木本類(稚樹・伐株)移植レイアウトは図3を参照ください。

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再生地レイアウトの続きです。
再生地の環境特性に基づいて、植えつけるものの数量を概算します。
再生に必要な草本類の着目種の株数を概算し、木本類 (稚樹・伐株) の本数、表土、ウッドチップの数量等の概数を算定します。

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再生地レイアウトの続きです。
レイアウトは、北・南向きでの斜面方向、景観面への配慮、既存樹林の林縁部等を考慮して検討します。
切土のり面の林縁部に木本類(稚樹・伐株)及び低木類をのり肩へ植えつけて処理します。
草本類の着目種、木本類(稚樹・伐株)は生育箇所から採取、その付近の再生地へ本移植します。
草本類の着目種は生育箇所から生育していない環境への本移植を行ってはいけません。

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図2には、切土・盛土のり面への緑化図(模式図)を示しました。

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図3には、盛土のり面での木本類(稚樹・伐株)移植レイアウトを参考として示しました。

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ここからは、着目種・植生ユニットの仮移植になります。
①事前確認、②マーキングは、調査担当が行い、③掘り取り、④運搬、⑤植え付けは、作業担当が行います。
事前確認では、草本類の生活史を踏まえて、事前確認の時期を設定します。
次に、計画路線上を踏査し、草本類の確認を行います。
草本類を確認した場合には、マーキング作業を行います。マーキングは、移植数量より余裕を持たせて多めに行います。

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マーキング作業では、ビニール製ピンクテープ等に種名と通し番号を記入します。
次に、テープを針金等につけて、草本類の近くに差し込みます。
最後に、 図面上に位置を記録し、種名、番号等を台帳に記入します。

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ここから、作業担当になります。
掘り取り作業では、マーキングのテープを探し、草本類を確認します。
草本類を傷つけないように注意して、目安として15~30cm角程度(深さ20~30cm)に掘り取ります。
大きな草本類や、草本類がまとまって生えている場合には、植生ユニット30cm×30cm程度(深さ20~30cm)で掘り取ります。

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運搬作業では、掘り取った草本類を、マーキングのテープと共にケースや土のう袋等に移します。
植生ユニットで掘り取ったものは、トレイ等に移します。
日なたを避けて、速やかに仮移植地へ運搬します。

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植え付け作業では、同じ種は近くにまとめ、群落と群落の間は50cm程度間隔をあけます。
地表面が水鉢状になるように草本類を植え、テープをつけます。
移植直後には、十分に灌水をします。
作業後に、単管パイプ等のフレームを組んで寒冷紗で仮移植地を覆います。
植物の乾燥や、周囲の草が侵入しないようにします。

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ここからは、木本類(稚樹)及び低木類の仮移植になります。
調査担当が、①事前確認、②マーキングを行い、作業担当が③掘り取り、④運搬、⑤植えつけを行います。
事前確認では、計画路線上を踏査し、自然林再生に利用する木本類(稚樹)及び低木類の確認を行います。
樹高1m未満の落葉広葉樹の高木種と低木類を対象に、マーキング作業を行います。
マーキングは、移植数量より余裕を持たせて多めに行います。

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マーキング作業では、ビニール製ピンクテープに種名と通し番号を記入します。
テープを木本類(稚樹)及び低木類に直接結びつけます。
図面上に位置を記録し、種名、番号等を台帳に記入します。

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ここからは、作業担当になります。
掘り取り作業では、マーキングのテープを探し、木本類(稚樹)及び低木類を確認します。
根鉢径を幅30cm、深さ20cm程度で掘り取ります。
掘り取り中、根鉢が崩れて根が出た場合、乾燥させないように速やかに運搬し、植えつけます。
掘り取りの根鉢の大きさは図4を参照してください。

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図4には、木本類(稚樹)及び低木類の掘り取りの根鉢の大きさを示しました。

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運搬作業では、掘り取った木本類(稚樹)及び低木類を、マーキングのテープと共に土のう袋等に移します。
日なたを避けて、速やかに仮移植地へ運搬します。

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植え付け作業では、株と株の間は1.0m程度間隔をあけます。
植えつけるところに植穴を掘ります。 掘り取った根鉢上面と周りの地表面が同じ高さになるように、根元周りに土を埋め戻します。
植穴への埋め戻しは掘り出した土としますが、その土が適していない場合には、保水性・通気性・透水性のある土を用います。
植えつけ方法は図5を参照してください。

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植え付け作業の続きです。
足で軽く踏んで固め、地表面に水鉢を作り、テープをつけます。
移植直後には、十分に灌水をします。
風による倒伏を防ぐために、必要に応じて支柱(丸太または竹)をつけます。

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図5には、木本類(稚樹)及び低木類の植えつけ方法を示しました。

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ここからは、高木の伐採になります。
草本類・木本類(稚樹)の仮移植が完了後、高木を伐採します。
伐採木は再利用します。

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ここからは、木本類(伐株)の仮移植になります。
調査担当が、①事前確認、②マーキングを行い、作業担当が③掘り取り、④運搬、⑤植えつけを行います。
事前確認では、計画路線上を踏査し、自然林再生に利用する木本類(伐株)の確認を行います。
確認は、木本類(稚樹)の事前確認と同時に行います。
幹の根元径10cm以下の落葉広葉樹の高木種を対象に、マーキング作業を行います。
マーキングは、移植数量より余裕を持たせて多めに行います。

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マーキング作業では、ビニール製ピンクテープに種名と通し番号を記入します。
テープを木本類(伐株)に直接結びつけます。
マーキングは伐採前に行うので、結びつける位置に注意します。
図面上に位置を記録し、種名、番号等を台帳に記入します。

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ここからは、作業担当が行います。
掘り取り作業では、マーキングのテープを探し、木本類(伐株)を確認します。
幹の根元径10cm以下の木本類(伐株)を掘り取り対象とします。
根鉢径を幅50cm、深さ30cm程度で掘り取ります。
掘り取り中、根鉢が崩れて根が出た場合、乾燥させないように速やかに運搬し、植えつけます。
掘り取りの根鉢の大きさは図6を参照してください。

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図6には、木本類(伐株)の掘り取りの根鉢の大きさを示しました。


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運搬作業では、掘り取った木本類(伐株)を、マーキングのテープと共に土のう袋等に移します。
日なたを避けて、速やかに仮移植地へ運搬します。

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植え付け作業では、株と株の間は1.0m程度間隔をあけます。
植えつけるところに植穴を掘ります。

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植え付け作業の続きです。
幹が真直ぐなものは、地表面と根鉢を同じ高さにし、幹が根元曲がりのものは、鉛直になるようにし、根元周りに土を埋め戻します。
植穴への埋め戻しは掘り出した土としますが、その土が適していない場合は保水性・通気性・透水性のある土を用います。
植えつけ方法は図7を参照してください。
足で軽く踏んで固め、地表面に水鉢を作り、テープをつけます。

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図7には、木本類(伐株)の植えつけ方法を示しました。

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ここからは、伐採木、使用しない伐株等の除去、管理になります。
除去、管理では、伐採木や伐株を表土のすきとり作業の支障になるので除去します。
自然林再生する資材として再利用するものは、収集し管理します。

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ここからは、表土の保管になります。
調査担当は、事前確認を行い、作業担当はすきとり、堆積・保管を行います。
表土には様々な生物が生息・生育し、郷土種の種子も含まれており、自然林再生のための重要な資材として再利用するため、表土を保管します。
事前確認では、表土の厚さを確認し、図面に記録します。

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ここからは、作業担当になります。
すきとり作業では、伐採木等の除去が終わっていることを確認します。
地表面から確認した厚さで表土を重機等ですきとります。

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ここからは、堆積、保管になります。
保管場所は道路敷地内とします。
保管場所に生えている牧草類の根茎を剥ぎとり、平らにします。
表土を高さ1.5m以下で堆積し、軽く鎮圧します。

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ここからは、仮移植後の維持管理になります。
草本類の管理では、移植直後には、十分に灌水をします。
また、年2回程度の草刈をします。
木本類の管理では、移植直後には、木本類(稚樹)に十分に灌水をします。
風による倒伏を防ぐために、必要に応じて支柱をつけます。
また、年2回程度の草刈をします。

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ここからは、再生地への本移植になります。作業担当が行います。
草本類の本移植では、仮移植地から、草本類を傷つけないように注意して、目安として15~30cm角程度(深さ20~30cm)に掘り取ります。
再生地へ、地表面が水鉢状になるように草本類を植えつけます。群落と群落の間は50cm程度間隔をあけます。
移植直後には、十分に灌水をします。
モニタリングのため、草本類にマーキングを行います。

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稚樹の本移植では、仮移植地から、根鉢径を幅30cm、深さ20cm程度で掘り取ります。
配植により位置を決定し、斜面地では掘り込み式で植穴を掘ります。

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稚樹の本移植の続きです。
掘り取った根鉢上面と周りの地表面が同じ高さになるように、根元周りに土を埋め戻します。
植穴への埋め戻しは掘り出した土としますが、その土が適していない場合には、保水性・通気性・透水性のある土を用います。
深植えとなる場合には、幹のところで地表面と根鉢上部で10cm程度になるようにします。
斜面地での植えつけ方法は図8を参照してください。

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稚樹の本移植の続きです。
足で軽く踏んで固め、地表面に水鉢を作り、テープをつけます。
移植直後には、十分に灌水をします。
風による倒伏を防ぐために、必要に応じて支柱(丸太または竹)をつけます。

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図8には、斜面地での木本類(稚樹)の植えつけ方法を示しました。

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伐株の本移植では、仮移植地から、根鉢径を幅50cm、深さ30cm程度で掘り取ります。
配植により位置を決定し、斜面地では掘り込み式で植穴を掘ります。

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伐株の本移植の続きです。
幹が真直ぐなものは、地表面と根鉢を同じ高さにし、幹が根元曲がりのものは、鉛直になるようにし、根元周りに土を埋め戻します。
植穴への埋め戻しは掘り出した土としますが、その土が適していない場合には、保水性・通気性・透水性のある土を用います。
深植えとなる場合には、幹のところで地表面と根鉢上部で10cm程度になるようにします。
斜面地での植えつけ方法は図9を参照してください。

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伐株の本移植の続きです。
足で軽く踏んで固め、地表面に水鉢を作り、テープをつけます。
葉がついている場合、移植直後には、十分に灌水をします。

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図9には、斜面地での木本類(伐株)の植えつけ方法を示しました。


以上で、監理担当編の説明を終わります。

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